
新人の頃、休憩室に入ると同時に話し声がふっと止まる。気のせいだと自分に言い聞かせて、お茶を飲んでいました。
看護師こはるです。

私にも、職場の空気が怖かった時期があります。インシデントを起こしたあとカンファレンスや申し送りが、特につらかったです。
責められているような空気の中で、ただ頭を下げていました。
この記事では、人間関係がこじれる原因と、次の職場を見極める5つの方法をお伝えします。
人間関係は、看護師が辞めたい理由の2位です
人間関係で悩む看護師は、少数派ではありません。現役看護師182人への調査で、辞めたい理由の2位が「職場の人間関係が悪い」でした。
1位は「激務すぎる・残業が多い」です。辞めたいと思ったことがある人は、全体の90.7%にのぼりました。
回答者の半数以上が30代でした。経験を積んで中堅になる時期に、人間関係の悩みは重くなります。
後輩の指導も、先輩への気づかいも、両方を抱えるからです。
人間関係で悩むのは、あなたの性格のせいではありません。
人間関係の悪さは、性格の問題ではありません
人間関係の悪さは、職場の余裕のなさから生まれます。
「あの先輩がきつい」「あの人とは合わない」。個人の性格の話に見えます。実際には、職場の構造が人を変えています。
余裕のある職場では、同じ人がおだやかになります。逆も起こります。
人手不足が、確認する余裕を奪う
人手が足りない職場では、ひとりが抱える業務量が増えます。急いでいるときの言葉は、どうしても短くなります。

私が働いていた病棟も、いつも何かに追われていました。ナースコール、離床センサー、モニターのアラーム。ゆっくり話す時間はありませんでした。
閉じた空間には、逃げ場がない
病棟は、同じ顔ぶれで長い時間を過ごす場所です。
一度こじれると、距離を取る方法がありません。会社員のように部署が多いわけでもありません。
逃げ場のない場所で耐えることを、努力とは呼びません。
人間関係がこじれる3つの原因
人間関係がこじれる原因は、3つあります。どれも個人の性格とは別のところにあります。
原因1 人手不足で、伝え方に気が回らない
いちばん多い原因が人手不足です。業務量が増えると、言葉を選ぶ余裕がなくなります。
「なんでやってないの」という一言に、悪意がないこともあります。受け取る側には、きつく響きます。
忙しさが誤解を生み、誤解が空気を悪くします。悪くなった空気が、さらに人を減らします。
原因2 命に関わるぶん、指摘が強くなる
2つ目の原因は、看護の仕事そのものにあります。確認の漏れが患者さんの命に直結します。
だから指摘は厳しくなります。問題は、指摘の中身と伝え方が混ざってしまうことです。

正しい指摘でも、伝え方がきつければ人は萎縮します。私が新人の頃カンファレンスを怖いと感じた理由も、そこにありました。
原因3 余裕がありすぎても、こじれる
3つ目は意外かもしれません。業務がひまな職場でも、人間関係はこじれます。
他人を見る時間が生まれると、不満が口に出やすくなるからです。
忙しくない職場に移れば解決する、とは限りません。忙しさの量だけで職場を選ぶと、選び方をまちがえます。
人間関係を決めるのは、忙しさの量ではなく職場の余裕の質です。
職場を見極める5つの方法
次の職場は、求人票の言葉ではなく数字と現場の様子で選んでください。方法を5つ挙げます。
方法1 残業時間と有給消化率を聞く
最初に聞くのは、残業時間と有給消化率です。人手が足りているかが数字で見えます。
「アットホームな職場です」という言葉に、根拠はありません。数字には根拠があります。
数字を出せない職場は、把握していないか、出したくないかのどちらかです。答えをにごされたら、にごされたこと自体が答えです。
方法2 見学して、スタッフの表情と声を見る
見学は必ずお願いしてください。見るのは設備ではありません。
5分その場に立てば、だいたい伝わります。
見学を断られた場合も、判断材料になります。人手に余裕があれば、見学の対応をする時間は作れます。
方法3 中途採用者への教育体制を聞く
中途やブランクのある人への教育が整っている職場は、人を育てる余裕があります。
「見て覚えてもらいます」と言われたら、余裕がないサインです。新人が放置される職場では、空気も荒れます。
方法4 面接での答え方を見る
面接は、こちらが職場を見る場でもあります。教育や休みの質問に、丁寧に答えてくれるかを見てください。
面接での対応は、入職後の対応とだいたい同じです。はぐらかす相手は、入職後もはぐらかします。
方法5 平均勤続年数を聞く
勤続年数が短い職場は、人が定着していません。定着しない理由は必ずあります。
目安は5年です。5年を下回る職場では、人が入れ替わり続けています。教える側も落ち着きません。
「若いスタッフが多い職場です」という説明には、注意してください。人が辞め続けている可能性があります。

私は27歳で回復期リハビリテーション病棟に移ったとき、不妊治療のことを職場に伝えました。シフトを調整してもらいながら、治療を続けられました。
相談を受け止める余裕のある職場は、確かに存在します。
求人票の「アットホーム」に根拠はありません。数字を聞いてください。
今日からできる4つのこと
人間関係がつらいと感じて辞表を出す前に、今日できることが4つあります。
1 自分にとってつらい相手が何人いるか数える
まず、関わるのがつらい相手の名前を書き出してください。人数を数えます。
1人なら、勤務の組み方を変えるだけで楽になることがあります。部署全体なら、環境そのものの問題です。
人数がわかると、師長に相談すべきか、職場を変えるべきかが見えてきます。
2 自分だけがきつく言われているのか確かめる
次に、同期や信頼できる先輩に聞いてみてください。
「みんな言われている」とわかるだけで、受け止め方が変わります。自分だけだとわかった場合は、次の行動に進んでください。
3 言われた内容を記録に残す
3つ目は記録です。日付、言われた内容、その場にいた人。スマホのメモで構いません。
記録は、師長や相談窓口に話すときの根拠になります。記憶だけでは、こちらの主張が弱くなります。
相談するときは、感情ではなく事実を並べてください。
「つらいです」ではなく「この1か月で3回、他のスタッフの前で指摘を受けました」と伝えます。事実は反論されにくく、具体的な対応につながります。
4 情報収集だけの相談をする
4つ目は、転職エージェントへの相談です。応募が前提ではありません。
「今すぐではないが、人間関係の良い職場を知りたい」と伝えてください。内部事情を知る担当者なら、離職率や職場の雰囲気を教えてくれます。
まとめ

私は14年のあいだに、いくつかの職場を経験しました。振り返って思うのは、人間関係は運ではなかったことです。
余裕のある職場には、余裕のある人が残ります。職場を選び直せば、関わる人も変わります。
合わない職場で耐え続けても、あなたの看護は良くなりません。
今の職場の空気に、あと10年耐えられるでしょうか。答えが出ないなら、まず数字を確認するところから始めてください。


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